人工知能(AI)に芸術は分かるのか?
人工知能(AI)に芸術は理解できるのだろうか、また、人間を感動させるようなアートを生み出すことは可能なのだろうか?
私が調べた結果、その答えは「YES」と言わざるを得ないものだった。
人間の視線の行く先に花を咲かせるAIアート
たとえば、2017年に東京で開催された「視線で花咲くアート展」では、NECの最新技術とコラボしたAIの力を借りたアートが人々を感動させた。
プロジェクターに映し出された絵を見ている複数の人間の視線の行く先を人工知能が先取りして予想し、視線の先に花を咲かせるといった動的なCGアートは、人々を驚かせるに十分だった。
この作品は、ゼロからAIが創作しているわけではなく、あらかじめコンセプトや大枠は人間によって決められてはいるが、AIの力を借りる事で人間を驚かせたり感動させる芸術が創作可能な事を証明している。
「AIの持つ『決められたことをやっていく緻密な所』と、人間の持つ『気まぐれさ』が混ざっていく事で、すごく面白い作品になるのではないか」と、製作関係者は語っている。
2つのAIが互いに競いながらレベルの高い絵を生み出す
また、AIがよりクリエイティブにアートの創作段階から関わっている例もある。
2018年、世界最大のアートオークション「クリスティーズ」が、世界で初めて、AI(人工知能)による作品を出品すると発表した。その作品は一見、人間の画家が描いたような雰囲気を醸し出しているが、実際には二つのAIが互いに競い、学習を深めながら生み出されたものだ。
膨大な芸術作品から学習した片方のAIが作品を創作し、もう一方のAIが人間によって書かれた絵とAIが創作した絵の違いを探し出す。後者のAIが違いを見つけられなければ、それは人間の描いた絵と見分けがつかないほど近いというわけだ。
また、この2つのAIに加え、よりオリジナリティの強い作品を生み出しつつも、人間の描いた絵から逸脱しないようチェックする機能も兼ねたAIも加わる事で、よりヒトによるアートと遜色がない作品が生み出されるとの事だ。
AIは高度な芸術作品を生み出す事が出来る。
この2つの例は私にとって衝撃的だった。機械には、人間を感動させるようなアートは生み出せないだろうと思っていたからだ。最近では、AIの力を借りる事で斬新なアートが創作可能で、さらに複数のAIに共同作業させる事で、より創作の力を高める事も可能という事が明らかになった。